研究内容
私たちの研究室では、コンピュータの仕組みに関する研究の中でも、並列・分散処理に関する研究をおこなっています。
ネットワークで結ばれた複数のコンピュータを協調動作させて、さまざまな仕事を効率よく処理させることが研究の目的です(ひとことに「コンピュータ」といっても、ふつうのパソコンから携帯電話、携帯ゲーム機、HDD レコーダーなどの情報家電に至るまで、さまざまなものを研究対象としています)。
現在のおもな目標は、以下の三つです:
ネットワーク上で情報や資源をどのようにして効率よく共有するか
ネットワーク上に分散している情報をどのようにして効率よく検索するか
ネットワーク上に存在する資源をどのようにして安全に利用するか
短くいうと、「共有」「検索」「安全性」ですね。
インターネットを思い浮かべるとその重要性がよくわかると思います。まずインターネットにプロバイダなどを通して接続することで、ネットワーク上のさまざまな情報に自由にアクセスすることができます。つまり、それらの資源をほかのインターネットユーザと「共有」することができます。しかし、ただ「共有」しているというだけではあまりうれしくなくて、自分のほしい情報がその中からうまく「検索」できないと話にならない(たくさんの本をもっていても、読みたいときにすぐ読めなければ、本屋さんにおいてあるのとあまり変わりませんから)。そして、「検索」の結果見つかった情報は、情報の提供者と利用者との間で「安全に」やりとりできなくてはなりません。プライバシーが守られなくてはならないのはもちろんですし、送られている途中で改ざんされたり盗まれたりしても困ります。
私たちの研究室では、上記の目標に向けて、1)新しいモデルの提案、2)新しい問題の定式化、3)アルゴリズムの提案、4)シミュレーションによる提案アルゴリズムの評価、5)提案アルゴリズムの分散環境への実装、6)実装された基盤システム上への具体的なアプリケーションの実現、という6つの視点からの研究を進めています。つまり、
基本的な考え方を決めて、解決すべき問題を明確にする
↓
問題を解決する
↓
その解決方法がどのくらいよい方法なのかを評価する
↓
実際の分散ネットワーク上に実装し、いろんな人に使ってもらう
というのが、私たちの考える理想的な研究の流れです。
以下では最初に、上記の三つの目標のうち「情報検索問題」について、高校生にもわかるようにその背景の説明をします。そのあとで、現在我々の研究室でおこなっている「分散検索」と「検索精度の向上」について、そのさわりの部分を紹介します。
このページのトップへ |